『二科てすらは推理しない』感想
『二科てすらは推理しない』(PEACH-PIT、講談社)の感想です。
あらすじ
満員電車で痴漢を疑われたサラリーマン百地俊太。
無実を証言してくれる人はいないか?
そのとき手を上げたのは二科てすらと名乗る美少女。
彼女は「机上の空論」と自らが呼ぶ思考実験を繰り広げるトンデモ女子高生だったのだ!
『ローゼンメイデン』で有名なPEACH-PITさんの新作です。
浮世離れした美少女・二科てすらが一種の探偵役となって活躍します。
それだけでも惹かれますが、この二科てすらという少女、なかなかややこしい人物です。
まず、彼女が行うのは「机上論理学」に基づく「思考実験」であって、「推理」ではありません。
「机上論理学」というのは本作の中で創作された分野です。つまりは、机上の空論を突き詰めているわけです。
思考実験の例として「水槽の脳」などが取り上げられているあたりは、ニヤニヤが止まりません。やはりこういった援用には弱いです。いろいろな可能性が広がりますね。
さて、この机上の空論はあくまで仮説の積み重ねですから、単なる「思い込み」や「妄想」に過ぎない可能性が大いにあります。
てすら「そうとも 私は推理しない ただの思考実験さ そして思考実験とは実証を必要としないもの 真実はどうでもいい」
そこで役割を与えられるのが、本作の主人公(?)である百地です。
てすらが「思考実験」、百地が「実証」、このように役割が分担されます。
探偵と助手というコンビがここに生まれたわけです。
そしてもう一点、この二科てすら、見た目は女子高生ですが中身はおっさんとのことです。
これは一周回って、てすらの可愛らしい魅力になっている……のか?
いずれにせよ、結構攻めたキャラになっています。
てすらの中身が本当におっさんなのか、その真相はこれからの展開によって明らかになります。
『二科てすらは推理しない』はSeason1にあたり、まだ続刊があります。
続編はタイトルも変わるので、『二科てすらシリーズ』ということになるのでしょうか。
『虚構推理』もそうですが、一癖ある推理漫画が最近熱いですね。もっと増えてほしいです。
『二科てすらシリーズ』の続刊もそのうち感想を書きます。