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ちはやふる3 第7話「あらしふく」【アニメ感想】

ちはやふる三期7話の感想・レビューです。ネタバレありです。

 

今回のちはやふるは、「千早、将来の夢を語る」「らしくない新」「抜け駆けの太一」の三本でした。

 

なんだかんだ長く続いた吉野会大会がついに決着。そして、名人・クイーン戦へ。

やっぱりこの吉野会大会から名人・クイーン戦までのストーリーは面白い。今回は特に名言というか印象に残るセリフ・シーンが大量にありました。

 

 

 

【今回のちはやふる

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©末次由紀講談社・アニメ「ちはやふる」プロジェクト2019

 

吉野会大会決勝・千早vs太一。勝ったのは、千早。

近づくクイーン戦も踏まえて、これまで以上の注目を集める千早。

そこであらためて気になるのが、クイーン戦予選と修学旅行の日程が被っていること。

 

千早の決断は、修学旅行に参加すること。

瑞沢部員、宮内先生、遅れてきた母、桜沢先生たちが聞いている中、千早が語ったのはこう。

宮内先生や桜沢先生みたいなかるた部の顧問の先生になりたい。でも高校の先生になる上で、修学旅行に行ったことがないのは困る。これ。

 

一方その頃。千早に敗北した太一に接触する新。

新が語ったのは、ずっと千早は太一のものだと思っていたということ。なぜならずっと一緒だったから。それを聞いて、千早は2人のものだと思っていると密かに思惟する太一。

その直後、新が発したのは、千早は誰のものでもないよな、との言葉。

 

修学旅行に参加している千早。瑞沢高校修学旅行一日目。次の日が、名人・クイーン戦予選。

クイーン戦を諦めて、一生に一回しかない高校の修学旅行を楽しむ千早。しかしそこに思わぬ知らせ。

太一が修学旅行を欠席し名人戦東日本予選にエントリーしているということ。

驚き、怒り、混乱する千早。

その頃、太一は白波会で原田先生と練習。

 

そして、吉野会大会以降調子が悪くなっている新。

 

今回はここまで。

 

 

 

【今回の感想】

冒頭にも書いた通り、千早、新、太一の3人がそれぞれ動きました。

 

まず千早。吉野会大会優勝。しかもこの大会で戦った相手は超強豪ばかり。千早の名声が高まりました。

しかしそれ以上に大事だったのはその後です。数話前に話題になったものの保留のままだったクイーン戦予選と修学旅行のバッティング。千早が選んだのは修学旅行でした。千早の将来の夢のため。

ぶっちゃけ原作でこのシーンを読んだときは、大きな感動と、「ん?どういうこと?」という意味不明感のふたつが同居していました。

まず、古典の先生とのやり取りなどもありましたが、宮内先生や桜沢先生みたいな顧問になりたいという夢を抱いたのは最高の展開でした。かるたが全然わからないけどなんとか生徒の力になろうとしている宮内先生と、強豪校の顧問になっているレジェンドの桜沢先生。この2人を同時に挙げていることが、とても素敵でした。かるたに詳しくないことに悩む宮内先生と、かるたの一線を退いたことを後悔しているように思える桜沢先生。一見真逆なこの2人に同時に同じ程度のインパクトを与えた言葉だったと思うからです。

また、千早の母の言葉もとても好きでした。急いで駆けつけて最初に千早に尋ねたのが勝敗の結果ではなく、楽しめたかどうか、思い切りやれたかどうか、だったこと。

おそらく、親だからこそまっすぐに出たこの質問。これがあったからこそ、千早の涙ながらの告白に繋がったように思えます。

 

一方、水を差すかもしれない個人的な疑問。高校の先生を目指す上で、修学旅行未経験というのはそんな致命的ですか?素直に謎です。

 

そして、新と太一のバチバチ

端的に言えば、冷静な新と情熱的な太一というこれまでの構図が逆転した感じです。

らしくなく、太一を挑発するような言葉を放ち、しかもそれを気にしてしまう新。

らしくなく、悩みや焦りを見せず淡々と名人戦予選に挑む太一。

 

今話のアニメを見てあらためて思いましたが、新と太一の態度は対照的になっていますね。強引に整理すればですが。つまり、手段と目的に関して。

太一は、千早という目的のためにかるたを手段にしています。

新は、かるたという目的のために千早(との思い出)を手段にしています。

 

ここに今の状況を当てはめてみれば、2人の精神状況の違いもわかってきます。

新は、手段(千早)への思いが不明瞭です。しかも今回の吉野会大会によってさらにかき乱され、かるたという目的との繋がりが揺れ始めてしまいました。

一方、太一は千早という目的はずっと揺らいでいません。しかもその思いを自覚しながら。そして今回太一にとって変化したのは、手段の中身だけです。吉野会大会から名人戦予選へ。換言すれば、千早に勝つことから、新に勝つことへ。

 

ここで、原作漫画をリアルタイムで読んでいたときの個人的な感想も書きましょう。

おそらくそれは一言にまとまります。太一、ダークサイドへ。

その感想・印象を、アニメを見た今なら少しは言語化できます。つまり、新も太一も揺れていることに変わりはありません。とはいえ、全体的に悩んでいる新とは違い、目的だけは完全に固定され、手段の選択だけを調整していっている太一。有り体に言えば、千早が自分にとっていかなる存在なのかまだわかっていない新と、千早のためにいかなる手段もとろうとする太一。こう言えば、現在、闇に堕ちそうなのがどっちかはわかるでしょう。

 

今回のクイーン戦予選への参戦がなくなった千早。主人公なのに蚊帳の外。むしろ主人公だからこそ、なのかもしれませんが。

しかしここで、あるある。成長した主人公が排除された状態のデカい戦いが一番の見所です。

クイーン戦はともかく、名人戦は間違いなく新と太一を中心に動いていくでしょう。

 

 

期待通りの面白さです。次回ももちろん期待。

 

以上、ちはやふる三期7話の感想でした。