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虚構推理 6話「合理的な虚構」【アニメ感想】

虚構推理アニメ第6話の感想・レビューです。ネタバレありです。

 

前回、鋼人七瀬の正体が「鋼人七瀬まとめサイト」であることを看破した琴子。

 

今回の主題は、そんな鋼人七瀬をいかにして退治するか。

その方法こそ、今話のタイトルである「合理的な虚構」。

 

同時に、ここにきてようやく「虚構推理」というタイトルの意味が判明することとなりました。

 

クオリティも相変わらず高いまま。面白かったです。

 

 

 

【今回の虚構推理】

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©城平京・片瀬茶柴・講談社/虚構推理製作委員会

 

人々の想像力によって生み出された怪異である鋼人七瀬。

その最大の源泉が、鋼人七瀬まとめサイト

 

人々が鋼人七瀬を想像しその存在を願っている限り、どんな手段を使っても倒せない。

そんな鋼人七瀬の退治方法として琴子が提案するのは、想像力を攻略すること。

 

つまり、「鋼人七瀬は亡霊である」という噂よりも魅力的な「鋼人七瀬は亡霊ではない」という物語をまとめサイトに提示すること

亡霊がいないという物語を人々が受け入れれば、鋼人七瀬は消滅。

 

人々が噂ではなく真実の方を受け入れるとは限らないし、しかも事実として鋼人七瀬という亡霊は存在している。

だからこそ、合理的な虚構で立ち向かうという琴子。

すなわち、現実とみなされる虚構、面白い物語。

 

そこで問題となるのは2つ。

・犯人:鋼人七瀬の仕業とされている事件の犯人は誰か

・動機:犯人は何のためにそんなことをしているのか

 

この2点を説明する魅力的で説得力のある物語が提示できれば鋼人七瀬を倒せる。

 

そのために必要なのが、七瀬かりんの死に関する警察の捜査情報。

鋼人七瀬を倒すためならばと協力することにした紗季。

 

警察の捜査資料をもとにした七瀬かりん死亡事件の整理。疑問点と警察の解釈。

 

・なぜ七瀬かりんは建設現場に来たのか?

→現場に落ちていた吸い殻や携帯の着信履歴などから、隠れて喫煙していたときの不運の事故死という説が有力

 

・事故死だとすると、鉄骨の回避や防御の形跡がないことが不自然

→父殺しの疑いがかけられマスコミから逃げることに疲れ、「もういいや」と自暴自棄になり無抵抗だったという説が有力

 

さらに他殺の場合の最有力容疑者だった姉の初実にアリバイがあったことから、警察は公式には「事故死」と発表したが非公式には「限りなく自殺に近い事故死」と結論。

 

しかし、残る最大の謎。

・容疑者最有力候補だった初実が、七瀬かりん自殺説に疑問を呈し続けていた

 

ここで真相について琴子に尋ねる九郎。

では聞き込み調査に行こうと提案する琴子。

 

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©城平京・片瀬茶柴・講談社/虚構推理製作委員会

 

七瀬かりんの事故現場へ調査に訪れた琴子たち。

 

そこに現れたのは作業員姿の幽霊。

彼は七瀬かりんの死を目撃していたとのこと。

 

落ち込んだ様子で工事現場に来た七瀬かりん。

そのとき倒れた鉄骨。しかし七瀬かりんはそれをかわそうともせず、そのまま。

 

結果、七瀬かりん死亡の真相は、限りなく自殺に近い事故死と判明。 

警察の推理通り。

 

そこで、琴子が提示する虚構が受け入れられるのは結局運次第ではないかという疑問を口にする紗季。

その疑問に対し、望まれる可能性が少しでも高い虚構を提示しさえすれば、あとは九郎がその可能性を100%にしてくれるという琴子。

 

くだんを食べた九郎の未来決定能力。

それは未来を予言するものではなく、無限に分岐する未来をひとつに決定するもの。その代償が命。 

ただし九郎の場合、起こる可能性が高く近い未来しかつかめないとのこと。

 

つまり、九郎と琴子の役割分担は、起こりやすい可能性を琴子が用意し、九郎がその可能性を未来として決定する、というもの

 

ただ、今回の黒幕と思しき存在については紗季に話さなかった九郎と琴子。

 

そして或る懸念を胸に対策を急ぐ琴子。

それは犠牲者が出ること。そうなると解決の難易度が上がるから。

 

 

同日、深夜。

鋼人七瀬に職質する寺田。紗季の先輩刑事。

向かってくる鋼人七瀬を制圧しようとするも、その攻撃は鋼人七瀬には通用せず。

 

朝。

ネット上には、真倉坂署の刑事が殺害された事件と鋼人七瀬の関係を噂する書き込み。

 

今回はここまで。

 

 

 

【感想】

今回はかなり重要な回でしたね。

 

鋼人七瀬の対処法と七瀬かりんの死の真相が判明し、今後の方針が定まったかと思いきや、その直後に事態を複雑にしてしまう新たな事件が勃発。

また、九郎の未来決定能力の詳細も明かされました。

 

やはり今回の目玉は、本作の推理の位置づけが明らかになったことでしょう。

事件を解決するために問題を整理した直後、まず目撃者である幽霊に真相を聞いちゃうというのがなかなか斬新でした。

紗季も「そんな真相の知り方あり?」とツッコむ始末。

 

ただ、琴子たちにとって必要なのは真相を推理し白日の下に晒すことではなく、納得できて面白い嘘をつくること。これがまた面白い。

 

琴子は探偵よりも推理小説家に近いと言えます

 

そしてもうひとつ面白いのが、合理的な虚構を作り出す上での制約。

真実警察の捜査情報一般的に知られている情報一般的に信じられているデマ、これら4つの要素それぞれに上手いこと配慮しながら、魅力的な物語を考えなければいけないという。

 

一般的な推理ものとは目的や方向、制約の重点など趣がかなり異なっていますが、これも間違いなく論理パズルのひとつと言えるでしょう。

 

あと、今回重要だったのは寺田刑事の死。

アニメでの寺田は単なる紗季の先輩刑事という印象が強かったですが、漫画では寺田と紗季の間にこれから進展がありそうという雰囲気が結構ありました。

だから寺田の死はなかなかのショック。普通に良い人だったし。

まあ、関係が進展しそうということ自体が完全に死亡フラグではあったんですがね。

 

今回で琴子たちの基本的な方針は固まりましたが、 寺田の死によって鋼人七瀬退治の難易度は上がりました。

 

次回、琴子や紗季はどうするのか?

 

以上、虚構推理アニメ第6話の感想でした。