虚構推理 9話「鋼人七瀬攻略議会」【アニメ感想】
アニメ虚構推理9話の感想・レビューです。ネタバレありです。
鋼人七瀬まとめサイトを舞台として始まった鋼人七瀬攻略議会。
4つの解決を考えたという琴子。
今回はその中の第一。寺田刑事殺害事件に焦点を当てた「振り子解決」について。
今回からガッツリ推理・解決篇に入りました。
琴子の推理がひたすら語られるという回でしたが、単調に感じることはなく、面白かったですね。
【今回の虚構推理】
鋼人七瀬攻略議会が開始。まとめサイトへの書き込みを始める琴子。
まずは鋼人七瀬という亡霊の存在への疑問を提示。そこから具体的な推理へ。
鋼人七瀬事件の様相を一変させた寺田刑事殺害事件。
その殺害状況から、犯人は亡霊としか考えられないと思われるようになった。
しかしそれこそが犯人の目的。
犯人は寺田刑事を殺害するために鋼人七瀬という亡霊をでっち上げた。
優秀な寺田刑事を誘い出すため、犯人はネットの一部で噂になっていた鋼人七瀬に扮して連続傷害未遂事件を起こした。
普通の警察はその調査に本気で乗り出しづらい。だが、些細な犯罪の予兆も見逃さない優秀な刑事である寺田は、独自に鋼人七瀬事件を調べ始めた。
これは犯人の狙い通り。
そして犯人は、鋼人七瀬の手掛かりを得たと寺田刑事に連絡し、ひとりで来るように仕向けた。
犯行現場となったガソリンスタンド跡地へ。
犯人はロープとフック、おもりでつくった振り子をガソリンスタンドの天井に仕掛けた。
そして現場に到着した寺田刑事を所定の位置に誘い出し、リモコン装置で振り子仕掛けを作動。
時刻は深夜であり視界は悪い。寺田刑事は為すすべもなく、おもりを顔面に受けた。
これが無抵抗で寺田刑事が殺害された理由。
ただ寺田刑事が正面から殺されたのが犯人の意図によるものだったのか、それとも偶然だったのかはわからない。
ここで疑問。
鋼人七瀬と振り子仕掛け。なぜ犯人はそのような手間を取る必要があったのか?
答えは、捜査対象から外れるため。
寺田刑事の殺害状況だけから推測される犯人像は、寺田刑事に勝る腕力を誇り、真夜中に2人きりでいても不自然ではない、顔見知りの男性。
つまり真犯人はそれとは真逆の特徴をもつ人間。犯人は女性。
女性が捜査対象から外されるような殺害状況をつくるため、鋼人七瀬という亡霊がでっち上げられた。
そのためトリックがわかれば条件が絞られる。
寺田刑事の身長を知ることができ、真夜中に寺田刑事を呼び出すことができ、不審な事件が起きれば寺田刑事が捜査に動くと予想できる人間。
これらの条件が当てはまるのは、寺田刑事と同じ署に務める女性警官。
殺害動機については想像の域を出ないが、殺害方法の周到性などから考えて粘着的な感情のもつれと推測できる。
鋼人七瀬は亡霊などではなく、寺田刑事を殺害する罠のため創り上げられた殺人装置である。
以上が琴子の第一の解決。
名指しはできなくとも犯人像を絞ることで説得力が生まれ、まとめサイト掲示板でも流れが一変。
鋼人七瀬に殺されながら琴子支持の未来を掴んでいる九郎のおかげ。
ちなみに、琴子が指摘した犯人像がそのまま自分に当てはまっていることにツッコむ紗季。
しかし第一の解決支持の流れは続かず。掲示板では否定的な意見が一気に増加。
九郎と同じ未来決定能力を持つ六花さんのせい。
そもそも鋼人七瀬支持派の流れを根付かせ、今もまとめサイトを維持できる未来を掴んできている六花さんが有利。
それでも勝つ気の琴子。
まだ4つの解決の中のひとつを提示しただけ。一部でも信じてもらえば十分。
続いて、第二の解決を仕掛ける琴子。
今回はここまで。
【感想】
ついに琴子による推理が始まりました。 コナンばりのセリフ量でしたね。
「振り子解決」という物理トリックメインの、なかなか地味な第一の解決。
六花さんの妨害もあり、結果的にはあっさり棄却されてしまいました。
実際、もしこれがミステリの最終的な解決だったとしたら物足りなくてしょうがないでしょう。
でも何よりも大事なのは、鋼人七瀬という亡霊の存在を否定することですから、その点においてまず物理トリックというのは妥当なのかもしれません。
第一の解決では、一番のネックである寺田刑事殺害事件こそが犯人の真の目的だったということにしたのが上手いところですね。
寺田刑事を殺害するための手段のひとつとして鋼人七瀬による傷害未遂事件が回収されることで、困難が回避されつつミステリのような面白さが生まれます。
その代わり、寺田刑事を殺害するためになぜわざわざそんな仕掛けを用いる必要があったのかという疑問も生まれたわけですが、その理由が偽の犯人像を作り出し捜査対象から外れるためという比較的現実的なもの。その意味で納得はしやすい。
現実的な理由と突飛な方法が結びつけられることで、面白いと同時に説得力のある物語の出来上がり。
ただ今回の第一の解決では、面白さはそれなりに有効だったものの、リアリティに基づく納得の面が弱かったようです。
寺田刑事が鋼人七瀬事件を犯罪の予兆と見なして独自に調べ出したとか、寺田刑事が好意を持っていた女性警官がいるなどの真実も適度に含まれてはいたんですが、そのへんのリアリティはサイト閲覧者には伝わらないですし。
寺田刑事周辺の警察に対してはなかなかの説得力をもったでしょうが。
そして紗季が犯人像に当てはまるというのは琴子なりの嫌がらせですね。
結局、面白さと説得力、この2つの間を上手く行ったり来たりするのが、鋼人七瀬攻略議会の鍵。
やっぱり琴子がやろうとしているのは探偵や警察の捜査よりミステリ作家の創作の方にはるかに近いということでしょう。
第一の解決は棄却されてしまったわけですが、これが後にどう影響してくるかが今後の見所ですね。
次回は第二の解決。期待です。
以上、虚構推理9話の感想でした。