因果交流電燈

本とアニメを題材にしていろいろ語るブログです。

愛すべき馬鹿、アンチョビ 【ガールズ&パンツァー】

突然ですが、『ガールズ&パンツァー』面白いですよね。僕は何度も見ました。

 

ガルパン』はとにかくキャラが多いのですが、僕はアンチョビが一番好きです。(ちなみに漫画版では性格が結構違うらしいですね。僕が好きなのはアニメ版の方です。)

 

誰だっけ?という方のために言っておくと、みほたち大洗女子が2回戦で戦ったアンツィオ高校の隊長で、ツインテールのアホの娘のことです。

 

テレビアニメ版しか見てない人はそもそも記憶にないかもしれません。なぜならアンツィオ戦の描写は一瞬だけで、すぐに準決勝へと話が進んでしまったので。

 

そんなアンツィオ戦は、OVA『これが本当のアンツィオ戦です!』で詳しく描かれました。

 

このOVAと、本編の続編である劇場版を見て、アンチョビを好きになった人は多いと思います。

 

有り体に言えば、アンチョビは「愛すべき馬鹿」です。

 

試合が終われば敵だったキャラも実は良い人だとわかるというのは、『ガルパン』の共通パターンです。どの対戦校にも、必ずと言っていいほどひとりは嫌な奴がいます。

 

ですがアンツィオ高校にはそんなキャラがいません。副隊長ペパロニを典型としてみんなテンションが高いアホの娘ばかりで、隊長のアンチョビを「姐さん」「ドゥーチェ(総帥)」と慕っています。アンチョビの方も、彼女たちには手を焼かされてはいますが、仲間として大切に思っています。大洗との試合での敗北直前のアンチョビの言動などにはその優しさがよく表れています。

 

試合後には大洗女子を招いてパーティを開き、決勝戦には前日から応援に駆け付けながらも寝過ごしてしまいます(テレビアニメ版の決勝戦前にアンツィオ高校が現れなかった理由がこうして描かれているわけです)。アンツィオ高校の面々とその隊長アンチョビは、戦闘前から戦闘後までずっと、愛らしいキャラのままです。

 

どこか抜けていて憎めない隊長という点では、プラウダのカチューシャとアンチョビは少し似ているかもしれません。カチューシャの場合、一見生意気で傲慢な態度が、幼女要素で中和されていました。

 

でもふたりには大きな違いがあります。カチューシャは一応前年度優勝校の隊長ですから、強者です。作品的にも実際の能力的にもラスボスは黒森峰のまほでしたが。

 

それにひきかえ、悲しいかな、アンチョビは有能さを示す描写がほとんどありません。彼女が僕たちに見せてくれたのはその人柄に尽きると言っても過言ではないでしょう。

 

ですが、そのアンチョビの人柄、というか愛されキャラ感が大切です。

 

テレビアニメ版は1クールという限られた範囲の中に王道展開をきれいに詰め込んでいました。『ガルパン』はそもそも「ツッコんだら負け」的な設定が豊富であり、それを前提としたキャラのやりとりの緩さもあって、どこか楽に見れてしまうところがありますが、話の流れとしては余分なところがほとんどなかった印象があります。

 

すると、そこで省略されたアンツィオ戦は、「水着回」や「温泉回」のような息抜き回だったように思えます。

 

そんな息抜き回の主役と言えるアンチョビは、まさにコミック・リリーフとしての役割を見事に果たしているわけです。

 

劇場版においても、アンチョビの愛らしさは大いに発揮されています。

 

大洗の危機再び。高校合同チームによる大学生チームとの闘い。そんな緊迫した状況下でも、彼女の愛らしさは変わりません。本人はいたって真剣であり、哨戒などのサポート役としてかなりの活躍を見せてくれますが、彼女が登場するだけで緊張感が緩みます。「うぅわあああああ!こっち見てるぞおおおお!」はアンチョビファンなら誰もが愛する名シーン。吉岡麻耶さんGJ。

 

そして『ガルパン』では、戦車道と人柄は結びつくことが示されています。特に、各校の隊長の人柄は、その戦い方に強く反映されています。

 

その点に関して言えば、みほとアンチョビは似ています。もしかしたら、最後に笑っているのはアンチョビなのかもしれません。

 

これからも、アンチョビは優れた戦術や技能によって勝利を得るのではなく、〈ノリと勢いと少しばかりの頭〉によって良いところをもっていくのでしょう。

 

そして最後にきっと僕たちは思うのです。みほは本当に、主人公らしい主人公だ。でもやっぱりアンチョビだな、と。彼女はまさにコミック・リリーフの権化に他なりません。

 

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