因果交流電燈

本とアニメを題材にしていろいろ語るブログです。

『アクタージュ』1巻・感想

『アクタージュ』1巻(原作・マツキタツヤ、漫画・宇佐崎しろ、講談社)の感想です。

 

あらすじ

女優を目指す女子高生・夜凪は有名芸能事務所スターズのオーディションで天才的な芝居をするも不合格。

それは彼女の危険な演技法に理由があった。

しかし、夜凪の才能に魅せられた映画監督・黒山が役者の世界に誘う!!

 

 

『アクタージュ』面白いです。いま最も新刊が待ち遠しい漫画のひとつです。

 

正直、最初に買ったとき本作の評判など全く把握していませんでした。というか今もどんな評判なのかわかりません。そんなことを調べる間も必要もなく、僕は読んですぐハマったので。

 

購入を決めた理由は3つあります。

ジャケ買い。本屋で見るとかなり目立っています。

②とりあえず『ジャンプ』なら安心。

③〈演技〉の漫画というのがどんなものか気になった。

 

この3つの理由は同時に期待でもあったわけですが、実際に本書を読んでみてその期待が裏切られることはありませんでした。

 

 ①まず表紙のインパクトは本編でも変わりませんでした。ただ、絵が抜群にうまいというわけではないと思います。なんですかね、たぶん〈目〉が印象的なんだと思います。次に〈髪〉かな。少なくとも主人公の夜凪とライバルの千世子は目と髪がすべてを物語っている気がします。絵って不思議ですね。

 

②『ジャンプ』的と言っていいのかわかりませんが、まさに王道展開で最高です。でも夜凪みたいな主人公はなんか久しぶりな気がします。純粋無垢な天才タイプ、というか。そのせいでときに周囲からは異常で恐ろしく思われてしまう、と。或る意味では、ハンターハンターのゴンに近いかも。

 

③〈演技〉を漫画でどう描くのか気になったんですが、今でもどういう理屈で僕がのめり込めてしまっているかわからないです。でもちゃんと演技の凄さ、迫力が伝わるんですよね。やっぱり〈目〉だと思う。これから先の巻にももっと迫力あるシーンがたくさんあるけど、背景とか他キャラのセリフとかで盛り上げているようには思えないし。特に夜凪はそう。

 

漠然とした印象ばかりになりましたけど、『アクタージュ』は演技の迫力というものをバッチリ伝えつつ、主人公らしい主人公を軸に見事に『ジャンプ』らしい王道展開を楽しませてくれています。

 

それにしても、馴染みがない分野の漫画ってやっぱり面白いですね。「メソッド演技」なんて初めて知りましたよ。

 

それに、『アクタージュ』は主人公という役割についても考えさせてくれます。表現が難しいですが、夜凪は〈魅力ある主人公〉ではなく〈主人公らしい主人公〉だと思います。

 

そういう意味で、本作においてかなり重要なのが千世子だと思います。物語序盤(より具体的に言えば主人公の挑戦第二、三戦あたり)に重要なライバルが登場するのは王道展開ではよくあることです。特にそのライバルが主人公と極端に似ているか、逆に対極にいるならばなおさらです。千世子は明らかに後者です。

 

夜凪みたいな純粋無垢な天才と対照的なライバルは、どこか屈折したところがありつつ、その実一番人間味にあふれていることが多い気がします。そのせいでライバルの方が主人公みたいに思えてきて、逆に主人公の方がラスボスに見えてくる。強引に思いつく例を探せば、『ワンパンマン』のサイタマとガロウとか。もっと強引に言えば、ハンターハンターのゴンとネフェルピトー、とか?

 

今回はまだ1巻の感想ですが、『アクタージュ』では、これから千世子がどんどん魅力的に思えてきます。でもだからといって夜凪の活躍への期待が弱まるわけではありません。もちろん、さらなる強キャラも現れてきます。

 

まだ今後の展開が全然予想できません。続きが楽しみです。

 

以上、『アクタージュ』1巻の感想でした。この続きの感想も今後継続していくつもりです。