因果交流電燈

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距離感の問題【『私の少年』2巻・感想】

私の少年』2巻(高野ひと深双葉社講談社)の感想・レビューです。

 

あらすじ

30歳のOL・多和田聡子と12歳小学生・早見真修。

二人で過ごす時間を特別なものと感じ始めていた聡子。

不意に、真修の家庭が抱える歪さを垣間見てしまう。

真修のためにできることは――?

聡子はある決意を固める。

 

1巻の終わりの聡子の言葉がやはり響いたのか、真修の積極的な一面が見えた2

巻でした。

 

一方、聡子の方は真修との距離感を思い悩みます。

 

自分の言葉じゃない言葉って

嘘みたいにするする出ていくんだな

 

2巻終盤のこの独白が、聡子の辛さを物語っています。

 

1巻とは対照的に、真修は大胆さが、聡子は弱さが目立ちました。聡子の弱さは優しさや思いやりと切り離せないものではありましたが。

 

特に椎川に対する真修の無自覚な敵愾心の現れとも思える態度は、読者的には清々しさすら感じさせるものでした。

 

というか、1巻の頃から思っていましたが椎川の態度は何なんですかね。理解しかねます。あるいは、女性向け作品ではありがちなキャラ造形なのでしょうか。

 

男性向けのハーレムものに必ずと言っていいほど現れる露骨な噛ませ犬と同じような役を演じていると見なしていいのか。。。そう考えると納得はできます。

 

でもたぶんもっと〈しっとりした〉背景や思惑が用意されていそうです。完全に悪人には見せないということでしょうか。

 

そういったところに少なからず違和感を感じてしまうのは、やはり僕が〈少年漫画〉的なものに侵されていることの証左なのかもしれません。面白いことです。

 

しかしその一方で、2巻最後の真修の涙には心が動かされました。

 

僕は基本的に女々しい男や、かわいらしさがどこかに演出されている男のキャラが嫌いです。極論すれば、女キャラに媚びを売るような茶目っ気すら受け入れがたいときもあります。

 

でも真修が見せた涙と弱さは全くの別ものでした。これも〈イノセンス〉のなせる業なのでしょうか。

 

どうやら僕は、もはや真修を可憐な〈ヒロイン〉として見てしまっているようです。

新たな趣味嗜好に目覚めなければいいのですが。。。

 

3巻の感想も近いうちに書きます。